購入を検討している物件が、Airbnbに適した立地にあるので、Airbnbへの参入を考えています。
で、気になっているのが「Airbnbを使って人を宿泊させるのって、違法なの?」ということ。「Airbnbは法的にはグレー」とか言う話をいろんなところから耳にしますが、実際のところ、どうなんだろうなあと。そして、法律を守って始めるにはどうすればいいのかなあと。
この辺をクリアにするためにいろいろ調べてみたので、以下にまとめてみます。
目次
Airbnbって、違法なの?
Airbnbを使って人を家に泊めること自体は、違法行為ではありません。
では何をすると違法行為になるかと言えば、「旅館業法での定めを守らずに、Airbnbを使って人を家に泊めた場合」です。
旅館業法とは
旅館業法とは以下のような法律です。コトバンクから引用。
旅館業法
昭和 23年法律 138号。ホテル営業,旅館営業,簡易宿所営業,下宿営業などのいわゆる旅館業に対し,公衆衛生の見地から必要な取締りを行うとともに,旅館業によって善良の風俗が害されることがないようこれに必要な規制を加え,その経営を公共の福祉に適合させることを目的とした法律。
まぁ、簡単に言えば、人を泊めてお金をいただく商売をするのであれば、あまり汚い環境だったりするとよくないので、「最低限これだけは守ろうね」というのを定めているのが、旅館業法になります。
Airbnbで人を泊めるとき、旅館業法を守らなくちゃいけないの?
旅館業とは、「宿泊料を受けて、人を宿泊させる、営業行為」のこと。
旅館業法において、次のように定められています。
「旅館業」とは、宿泊料又は室料を受け、人を宿泊させる営業のことをいい、「宿泊」とは、寝具を使用して旅館業の施設を利用することをいいます。
宿泊料又は室料を受けて人を宿泊させる施設で、反復継続の意思を持ち、且つその行為が社会性を有している場合は、すべて対象となります。(会員制や、会社の研修施設等特定の人を対象とする宿泊施設も含まれます。)
東京都福祉保健局のホームページより引用
Airbnbを使って人を家に泊める行為は、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業行為」と言えるので、「旅館業」ですね。ということは、Airbnbを使って人を泊めてお金をもらうのであれば、旅館業法を守らなくてはいけません。
Airbnbを合法でやるには、いろんなハードルがある
Airbnbを合法でやるために旅館業法を守らないといけないのであれば、普通に旅館業法を守ればいいだけの話ですよね。
でも旅館業法を守るのには、数々のハードルを乗り越えなくてはいけません。どんなハードルを乗り越えなくてはいけないのか、以下に書いていきます。
旅館業の許可を取れる地域には制限がある
どこでも旅館業を始められるわけではありません。旅館業を始めることができる地域には制限があります。
日本では、全ての地域に「用途地域」というものが存在していますが、物件の用途地域次第では、そもそも旅館業を行うことができないのです。
用途地域とは何か。国土交通省がわかりやすくまとめてくれているので、引用します。
●用途地域
都市における住居、商業、工業といった土地利用は、似たようなものが集まっていると、それぞれにあった環境が守られ、効率的な活動を行うことができます。
しかし、種類の異なる土地利用が混じっていると、互いの生活環境や業務の利便が悪くなります。 そこで、都市計画では都市を住宅地、商業地、工業地などいくつかの種類に区分し、これを「用途地域」として定めています。
用途地域によっては、旅館業を行うことができません。旅館業を行うことができる用途地域は、以下表の〇印がついた地域です。
第一種低層住居専用地域 | × |
第二種低層住居専用地域 | × |
第一種中高層住居専用地域 | × |
第二種中高層住居専用地域 | × |
第一種住居地域 | △(3,000㎡以下) |
第二種住居地域 | ○ |
準住居地域 | ○ |
近隣商業地域 | ○ |
商業地域 | ○ |
準工業地域 | ○ |
工業地域 | × |
工業専用地域 | × |
いろいろと面倒な手続きを行わなくてはならない
旅館業の許可を得るためには、いろいろと面倒な手続きをしなくてはなりません。
手続きの内容や、守らなくてはならない規制については、地域ごとに微妙に異なるようなので、詳細は役所に確認する必要がありますが、踏まなければならない手続きは大まかに以下の通りです。
(東京都福祉保健局 東京都多摩府中保健所の「旅館業の手引き」の記載内容を元に、以下まとめます)
<旅館業法許可までの手続き>
- 事前相談
申請場所・構造設備 について、図面等を持参のうえ、事前に保健所に相談。 - 申請手続
事前相談の内容も踏まえ、申請手続を実施。 - 関係機関への相談手続
消防機関、教育機関等に、相談を実施。 - 施設の検査
施設が完成したら、 保健所の職員が、設備基準に適合しているかどうか等について検査を実施。 - 許可
書類審査及び検査により基準に適合していることが確認されると、保健所長により許可される。
まとめ:旅館業法を守れば合法。でも守るのは大変
Airbnbは違法なのか、法律を守るにはどうすればいいのか、について見てきました。
調べてみた感想としては、「なかなか法律を守ってやるのは大変だよな・・・」、というものです。
「Airbnbをやろうとして物件を購入したが、旅館業法を守れないことが後から判明した。けど、今更後戻りできないから、違法状態のまま始めちゃおう・・・」、そんな人、多いんじゃないでしょうか。
解決策としては、
- 購入前に十分下調べする。役所にもいろいろ確認して、「買ってはみたものの、やっぱりできませんでした」となるリスクをできるだけ小さくする。
- 購入後、万一Airbnbができなくなった時の代替案を用意しておく(普通に賃貸に出す、シェアハウスにする等)
と言ったところでしょうか。
この辺に気を使いつつ、引き続きAirbnb参入に向けた準備を進めていきたいと思います。
2016/12/10追記:民泊新法の動向には注意
「年間180日までであれば旅館業法を守らなくてよい(運営にあたっていくつかの条件を満たす必要はあり)」ということを定めた”民泊新法”を導入する動きがあるようです(2017年に法制化される予定)。
投資家としてAirbnbをやるのであれば、年間180日しか運営できないのでは物足りないので、やはり旅館業法を守った形でAirbnbに参入するのが良いでしょうね。